いばら姫





クシャクシャになった
ショートフィルムフェスティバルの
合否結果の封書


鼻歌を唄いながら
DORUSUのコロンを叩く



―――――― 夜の繁華街


西と二人で
洋服屋の中をうろつく



あの後、幾つか仕事を探した
だけど

あんなに褒めそやされ
近寄って来られ

いつも何かにつけて
優位に立たせていた容姿が
"普通"の生活を邪魔した



――― "ムカつくんだよ"

何回言われたかな





「……やっぱりさ
淳は昔から目立ったし

ある意味、
目立つ場所に居たから
安全だったつうか…

―なあ 淳
ホントにホストやんのか? 」


「 スカウトされたしね
西、こっちのスーツと
どっちが良いかな」


「…『いちご煮ちゃん』は
何て言ってるの…? 」


「…会ってねえし
別に向こうも
会いたいと思ってないんじゃない? 」


「……なあ 淳
お前、家戻った方がいいよ
顔…変わって来てるしさ

急に家出るって聞いた時は
何事かと思った

てっきり『いちご煮ちゃん』と
同棲する為かなって…

お前の前の家
ひとり暮らしとは言っても
実家からお手伝いさんが
部屋の掃除とか、野菜届けに来たり
たまにしてたし、
それが怠かったのかなとかさ…

――なんか、
家戻りたくない理由でもあんのか…?」







「……そうか

西に言われて気が付いた…
別に… 家戻っても
構わないんだよな… 」


―――― アズは 来ない



「やっぱり淳はさ
あのフィールドに居てこそ淳だよ

…野良に出て
苦労する必要ないじゃないか

それにアキとか、多分、悲しがると思う…

アキの中では
今でも淳は、王子様なんだよ…」

「……毎日、わけわからん理由で
怒鳴られてさ
…優しい言葉かけてくれたのが
スカウトのお兄さんだったんだよね

―― 君なら成功するってさ 」



「……淳

映画は……… もういいのか? 」