いばら姫





裏口に停め
エンジンをかけた車に
灰谷が激しい靴音をたてて
乗り込んで来る


『…あの女 観客席に来てたけど途中から出て行って
………タクシー乗った』


「…青山はどうしてる 」


『……青山さん
ベースをステージに置いて行った

俺、暗くなってから
すぐに取りに戻って、
スタッフに預けたけど…

もしかしたらもう
あのベースは
使わないつもりなのかもしれない…』


「 …何でよ 」


『…他の女に触れた手で
触れないからに決まってる』


「……純愛馬鹿ばっかりかよ…」



『…貴方も充分
純愛だと思うよ』



「…そりゃどーも。 」