いばら姫






「先生離して!!
おれ行かないと…!」


―――… おれ ?


「麻酔のせいで
記憶が混濁してるねえ

…あずるちゃんは、今、いくつかな?」


「…なにいってんの先生…
16って何度も…」


「ごめんごめん
行くって、青山君の所? 」


「…さっき 何か聞いたんだ
何か変な人に…狙われてるって…」


「あずるちゃん 平気だから
少し横になろう

…あずるちゃんはさ
ほら 今、
ケンカして、ケガしてるじゃない」

「………うん 」

「外に出ると、やばいしさ」




『…アズちゃん 』


―――灰谷は
ベットの横にひざまづいて
アズと視線を同じくした


「…お兄さん だれ 」


『……リュウジ君のトモダチ。
灰谷遠矢

これから連れに行って
助けて来るから待ってて』


「……トオヤ…? 」


『…うん 』

「…って誰だっけ 」


『…考えなくていいよ
とにかくアズはここで待ってて
…後、解んないかもしれないけど
薬使ってごめん… 』


「…おくすり、くれたのに
なんで謝るの…? 」


『……アズ…
ホントにごめんなさい…』




――― アズの
少しピントの擦れた返事

でもそれは
やっぱりアズで……


「…そこの
綺麗なお兄さんはだれ?
ホストの人?」


アズは梅川医師と
灰谷の顔を見て、

吹き出した俺の顔を、指さした


「…アズ 」


俺が壁に寄り掛かりながら
そう 名前を呼ぶと

アズはビクリとして、
少し警戒体勢に入る



「…お兄さん
リュウジ君を助けられるんだけど
働いたら報酬が欲しいんだ

―― アズちゃん
お嫁さんに来てくれないかな?
そしたら絶対に、助けてあげるから」


「 うん!!いいよ!!

お兄さんホントにありがとう!!」


「……即答?
お嫁に来るなら、欲しいモノ無いの?」


「―おれ、何にもいらない!

――― それに

欲しいものは
全部リュウジがくれたから…」