いばら姫




――意外な事に
灰谷はアッサリ、アズをこちらに渡した


抱き上げて肩に背負い
車に戻ろうとした背中に
声だけが追って来た



『…… 次はきっと
あの女はアズの事を調べ始める』

「…十代の一時期
一緒にバンド組んでたなんて
たいした問題じゃないだろ」


『…天使のイメージで売っている歌姫の
十代での同棲スキャンダル

新宿での
男女入り乱れた溜まり場生活…

アズはきっと、歌えなくなるね… 』



「…俺の所に来て
普通の主婦してりゃいい 」


『…そんな乱れた噂のあった
世間体の悪い娘を
岡田一族が嫁として、認めると思う?』


「………家なんか、出ればいい 」


『……そう
それは実は、
貴方の望みかもしれないね…

だけどアズは青山さんが
あの女の言いなりに
自分が原因でなったんだと知ったら…

……貴方の傍処か

自分で命を絶つと思う 』







「……それはお前が持ってる
アズのイメージだろ

こいつは結構強いよ 」



『…貴方は
青山さんの前にいるアズを
知らないからだ 』