いばら姫




少し脱力して
タバコに火を着けた

「……青山さんか?」


「…違う 」





アズは携帯の画面を見てボタンを押し
『誰か』と話をし始め


けれどすぐに、周囲を見回して
視線は、向かい側の一点で止まった




自分の中の"何か"が
アズを映し始めた時と同じ様に
動いたのを感じる




――― 冬薔薇の前の
腰辺りまでの鉄柵に腰掛け
脚を組み


黒いコットンツイル・
ファイアーマンのコート

ブラックパンツに、足元は
Vanishingのボトムブーツ



―― 真っ直ぐにこっちを見ていた、
光の加減で
灰色に見える 切れ長の目

被っていたファーを取り
耳に充てていた携帯を閉じて
ゴツリとそこから降りた



アズも同時に
携帯を降ろす





「……遠矢くん… なんでここに…? 」