いばら姫





「何、撮ったの…? 」



「…… 東京から
いきなり"働かせて下さい"って
女の子が一人、うちの牧舎に来たのよ

なんか失恋がきっかけみたいなんだけど
よく働くし、いい子でさ


その娘の一日って感じで
一本作ったんだ

今は新しい彼氏が出来て
幸せにやってるみたいで
たまに手紙が来るよ 」



「…凄いね その人 」


「…何が 」

「魅力があるって事だね」



「………声がさ アズに似てた

元カレが
映画好きだったみたいで
夜中一緒に
ベットの中でビデオ見ながら
そんな話になって…

大学で映像研究部入ってて
機材の事も少し教えて貰って
それがキッカケかな

特に何か強く撮ろうと思って
…カメラ回した訳じゃないんだ」


「…でも見てみたい…その映画」


「―― アズさ
今の話聞いてて、スルーか?」

「…え 何を?」


「…"ベットで一緒" 」


「………あ 」


アズはいきなり気が付いて
顔を真っ赤にさせた




「…向けた理由も
俺はアズの声に似てたからだし

―― その娘にとっては
俺は元カレの代わり

……てか アズ
ヤキモチ焼いたりしないの?その娘にさ」


「……何故 ? 」


「あー…
さっきお前に言った事と矛盾してるか…」


「 うん 」



アズは、ぼんやり
足先を見て笑った




「…それは
私が淳に頼んだら、いけない事だ… 」


「……"身代わり"か 」



「…………」



「……最初は身代わりでも
そのうち俺と一緒にいて
"ああ そんな人いたなあ"に変われば
俺は問題無いよ

…そうさせる自信あるしね 」




――― 日の光のせいだけじゃなくて

アズの周りにあった
荊みたいなモノが取れて行く

諦めにも近いのかもしれないけれど…



――― アズの碧い瞳が
俺を見た時



…これも展開として
少し予測してたけど



アズの携帯が、鳴ってしまった