いばら姫




一瞬、姿を見付けられなくて
血の気が引いた


たいして離れて居ない場所に
少し屈みながら
ファーストフードの
メニュー看板を覗き込む
アズを見つける



思い切り荒い息で腕を掴まれ
びっくりした表情で振り向いたアズは
「どうしたの?!」と
聞いてきやがった



「…どうしたのじゃないし
お前、
あの場を止めるとかさ…
せめて可愛く拗ねるとかさ…

――…友達同士で
遊びに来てたとしたってさ
自分ほっぽりにされたら
もうちょっと別の反応あって
いいんじゃないの…?!」



――― アズは不思議そうに

子供みたいにまっすぐな瞳で
首を傾げて、ただこう答えた



「止めても…
自分が行きたかったら
皆、行くでしょう?」





―――― 標準装備で持っている
これが…
アズの"闇"

粘着な物が無く
ただ、サラサラと渇いている

誰にも、期待してない――――





アズは俺を
信用してないのか…?

いや
――正しく言うなら
きっと普通の信頼はしてくれている

…だけど

"いつ自分を置いて行っても
当然な存在"

多分、
そういう認識に過ぎない―――









「…ごめん 俺が悪い
少し、ふざけた 」


「 え… ふざけたって…
えと、あの…
せっかくの東京だし
クリスマスに誘っちゃったし

もし淳が、
さっきの人と意気投合して
楽しく遊びに行くとかなら
私も嬉しいから気にしなくても…」


「………アホ 」