いばら姫







ゆっくりと駅前を進むバスの窓から
真っ白なイルミネーションの飾られた
木々が揺らめく


アズに寄り掛かる形で
眠ってしまっていた俺とは逆に
彼女は目を醒まして
外をじっと見ていた


「…起きてたのか 」


「 うん 」


アズは柔らかく笑い
また体を返し、窓の外を見た



バスのアイドリングが止み
駅前に到着すると
皆、少しふらふらになりながら
外に降りた

交差点の向こうに、固定カメラと
二人のスタッフ

――― そして、"池上海平"



暮れて行く闇であって
明けていく街に
様々な服装や年齢の人間が行き交い

中心は
東口駅前広場の
巨大なクリスマスツリー

そこから
白い常緑樹のカーテンが拡がる



スタッフの人達が
軽く人止めをしたそこで
拡声器の号令が入る



『では〜… 一発撮りです!!
カウント0でこちらまで
一気に走って来て下さい

演技は〜特に〜要りませ〜ん

とにかく全員、全速力で!!

よろしくお願いしま〜す!!!』





―――手を擦ったり
その場で駆け足している
百人の集団が

クリスマスツリー目指し
瞳を集める


……白い息


『―――― サン 』



「…アズ 転ぶなよ 」

「 うん ! 」




『―――― ニィ 』








『―――――― イチ 』