俯くアズの手を繋ぎ
俺達はゆっくりと
体育館へと戻った
扇風機と団扇で
何をしているのかと思ったら
白い煙
スモークを焚いている
―― 午後には
"三年から一年への合唱曲"のシーン
少しづつ
一階や二階のカーテンを閉めて
光の調節をしていて
――― 驚いたのは
"池上海平"の特徴とも言われる
モス系や、セピアの画面
加工やCG合成している訳では無く
その光の調節だけで、
空間の色自体が
モスピンクになって行った事だ
これには体育館中が
感動の声をあげていた
予定よりも早く
ここでの撮影は終わり
制服は着たまま、バスの中へと移動
誰かが
「修学旅行みたいですね」と言い
バス内の空気が和んで
だいぶ沈んでいたアズの顔に
やっと少し、笑顔が戻った
『一応、待機場所、更衣室含め
新宿東口の
セントラルタワーホテルを
取ってあります
『鳳凰の間』を男性の皆さん
女性の皆さんは、
『朱雀の間』を使用して下さい
かなり座りっぱなしだったので
腰が痛い
「 アズ 」
…アズは朝と変わらず
窓際に頭を擦り付け
寝入ってしまっている
「…アズ 」
「……ん…」
「そのまま寝ると風邪ひく
こっち来い」
俺は
アズの頭を胸に寄せ
体の上にはダウンをかけて
両手を重ねて置いた
――うっすら目を開けたが
少しだけ何か考える様な目をして
また、瞳を閉じる
アズの頭に
軽く顎を乗せて
俺も、眠ったふりをした


