いばら姫



「…ホントだー 外あったかい」
「 ね 」




空は冬晴れで
飛行機雲が、一本


校舎と校舎の間の空間に
暖かそうな日だまり

途中、
理科室から持って来たダウンを
放り込む


「その上座れ ケツ冷える」

アズはかなり驚いた顔で
俺を見る


「……服
いいよ 地べたでも平気だけど
私自分の持って来るから」

「アホ あれ二十万位するべな」

「にっ 二十?!」


「…何だお前
自分の着てる服なのに
知らなかったのかよ」

「だってお父さんが買って来たから…」


「なるほどね

…いいから早く座れ
腹減った 」


アズはそう言っても、
やはり思い切り座れないらしく
端の方にちょこんと
腰を降ろした



脚の間に置いた弁当は
幕ノ内弁当

結構、ボリュームがある


「アズ 食えない物
ハンバーグとか、こっち入れろ
代わりに魚のフライとか持ってけ」

「……うん! 」



「…お前…
食えない物多いなあ…オイ」


「…ゴメンナサイ…」

「…いいけどよ
鉄サプリとか取ってるか?
てかお前、これも着ろ
唇青くなってる 」


学ランを脱いで
アズの肩にかけた


突然アズが

「……淳は…高校時代とか
モテたんだろうなあ…」と

少し関心したみたいな顔で
俺からお茶を受け取る


「…モテたよ 」

「ひ 」

「…バレンタインとか
段ボール一杯とか
普通にあった」

「…漫画の主人公みたいだね」

「理由は前言ったろ」


「…そういう理由ばっかりじゃ
ないと思うなあ…」


アズは『いただきます』をして
竹輪の磯部揚げから
箸を進めた


…子供の頃の話を聞いているわりには
そんな節は感じられない
綺麗な箸使いで

むしろ俺のがちょっと
握り方がおかしい


「…俺の弁当が洋風で
アズのは
和風弁当みたいになっちゃったな」

「あははは 」



アズの衿を直しながら
少し
青い空を 見つめていた