いばら姫





"真木"は

ポケットに手を突っ込み
俺の前に
目を逸らす事無く立った



「…新原さんから
先程少し、お話は聞きました

―― お引き取りを 」


「真木ちゃん!
そんな言い方したら…!!」


…売られた喧嘩は買う
そんな主義な訳じゃ無い

だけどこれには
頭に来た


――― 一発 "真木"を殴り
支える様に、
"緑川"が"真木"の背に走る


"真木"は横を向いたまま
俺を見て、一言いった

「…気が済むまで、ドウゾ。」



「――おまえ…アズの何?!」


「…アニキ、兼
アズルいわく『近所のいじめっ子』?

…で、貴方は?」


「…お、俺は…… 」







「……答えられませんか

貴方の様な人は
昔から、ボウズの周りに
沢山いるんです 岡田さん。


アイツを見て
勝手に好きになり
無遠慮に追い駆け回す

―― アイツが振り切らずに
一緒に歩いていたって事は
一定以上のキモチが
貴方にあるんでしょうけど

今回貴方を呼んだのは
アズルじゃない

新原さんのお友達として
いらっしゃった貴賓

新原さんにご迷惑をかけますし
オレは騒ぎ立てる気はありません

――――お引き取り下さい」




俺は
振り上げていた拳を
降ろした



「…池上!これ鍵!

緑川さん、赤池さん
先に上、池上と一緒に
あがっていてもらえますか?

起きた時人が居ると、
アイツ嬉しがるので
…お願いします」


「でも真木ちゃん」

「緑川、行こう 」



再度 "赤池"は
深々と俺にお辞儀し
まだ"真木"を気にしている
"緑川"の背を押して
マンションの中へと入った



「…相当甘やかしてるんだな
アズの事 」


「―― アイツには
オレ達しか居ないですから」


「…立派な父親がいるだろう」

「――16の歳まで
殆ど知らなかった父親との浸透圧より
アイツは友達に対しての方が
それらが高いんです

…… 青山と
比較にはなりませんが 」