あたしの髪の毛のセットにかかる時間は時によって違うけど、
寝坊しなかった日は朝シャンしてから髪の毛をセットするから、その時はものすごくかかる。
今日は寝坊したから、いつもみたいに朝シャンはできない。
あたしの髪はかなりの癖っ毛だから、癖っ毛を隠すために久しぶりに巻いていこうかなぁ………なんて、考えてた時だった。
「あっ!」
自転車の鍵がある場所を思い出した。
「何?どうしたの?」
少し息を乱しながら階段を降りてきた紫音。
あたしなんかのために、一生懸命自転車の鍵を探してくれたに違いない。
そんな紫音の優しさにうるっときてしまったけど、今はそれどころじゃないと、すぐに現実に戻った。
「自転車の鍵、樹(いつき)ん家にあるかもしれない!」
「樹ん家?」
「うん。昨日、樹の自転車が壊れちゃったから、帰り2ケツして帰ってきて、たぶん鍵は樹が持ってると思う」



