“ありがと”と返信が来たのを確認し、あたしは自転車が置いてある駐輪場に向かった。
しかし、またあたしは大事なことを忘れていたことに気づいた。
だって、駐輪場に着いたのはいいものの………
「あれ?」
自転車がどこにあるのか分からない!
樹に自転車が置いてある場所を聞くの、すっかり忘れてた。
あたしの高校の駐輪場は、3年生だけが雨に濡れない屋根がある場所になっていて、
2年生と1年生は1つの駐輪場になっている。
だから探すっていっても、広い場所にたくさんの自転車があるから、見つけられるわけがない。
あたしはすぐに樹に電話した。
「もしもし、樹?!」
『何だよ?』
「自転車どこにあるの?!」
『は?』
「自転車!どこにあるか分かんないから、帰れないんだけど!」
樹は友達と一緒にいるらしく、電話越しに不良たちの話し声が聞こえる。
『そんなの適当に置いたから覚えてるわけねぇだろ』
だけどいつも落ち着いてるというか、冷めてる樹だけは低く静かな声で。
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