コケてケガしたっていっても擦り傷程度だったし、
最近は2人乗りしてないから、もしかしたら上手くなってるかもしれない。
なのに、
「だから、自転車乗って先に帰ってていいよ」
相当あたしとの2人乗りが嫌らしく、寂しいことを言い出した。
「いいよ!あたしは自転車、手で押しながら帰るし!」
朝はあたしが自転車ないからって、紫音まで一緒に歩いて学校に来てくれたんだもん。
1人で自転車で帰れるわけない。
でもここは、冷酷美女紫音。
「これから近くで撮影あるから、スタッフの人が迎えに来てくれるって。だから大丈夫」
あたしの気持ちはまるで無視で、それだけ言うとさっさと教室から出ていってしまった。
紫音は本当にマイペースで、思ったことは全部声に出す。
だからって、あたしは何にも思わない。
紫音はこういう性格で、紫音は紫音だから、あたしは受け入れてる。
教室から見える校門の前に停まっている1つのワゴン車に乗り込む紫音。
それを見て、あたしは“撮影頑張ってね”と紫音にメールをした。
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