「でも、樹と奈緒ちゃんってほんと正反対だよね」
近くにいる樹には絶対に聞こえてない。
樹はカラフルな頭の人たちと楽しそうに騒いでるし、体育祭だから周りはすごくうるさい。
「だって樹はかっこよくて何でもできるでしょ?それに、無口で男らしいけど優しいじゃない?」
「……」
「それに比べて奈緒ちゃんは………ふっ」
あたしの顔からつま先まで見定めるように見ると、鼻で最後にバカにしたように笑った。
そんなことも樹は知らない。
つまり莉加ちゃんは、あたしと樹じゃ釣り合わないって言いたいんだろう。
そんなの遠回りに言わなくったって分かってる。
あたしは普通だし。
顔も性格も運動も勉強も。
だけど樹はあんな完璧な沙絢ちゃんよりも、普通で平凡なあたしを選んでくれた。
何を言われたって気にしないもん。
……そう思ってたのに。
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