「ねぇ、お母さん…」


「ん?」


「ありがとう」


「何がー?」


「いろいろ……してくれて」


「何言ってんの。熱あるんだから当たり前でしょ?ほら、また熱上がったら困るから、ベッドで寝てなさい」




あたしに熱があるから、お母さんはすごく優しい。




『どうせ何も食べたくないって言うんでしょ?今日は食べなきゃダメだからね。りんご切ったら持ってくから食べなさいよ?』


とその後にお母さんに言われて、あたしは自分の部屋に戻った。




いつもお母さんは優しいけど、今日は熱があるから一段と優しい。




その優しさが今のあたしには、すごく温かく感じる。




……ありがとう、お母さん。




あんだけお母さんが看病してくれたんだから、さすがに熱は下がってるだろうと思った。




けど、体温計は38度を示していた。




.