『しかも知り合いの彼氏ばっか好きになっちゃうんだよね』


『へぇ』




……沙絢の話を聞いてて、可哀想な子だなって思った。




それから沙絢は冷たい返事しかしないあたしに対して、更に親近感が湧いたらしく、悪い口調でいろんな話をした。




だからって、沙絢の本性を誰かに話そうと思ったことはないし、バラそうとしたこともない。




……だからって、今回のことは許せない。





すると、携帯の着信音が鳴った。




その電話はタイミングが良いのか悪いのか沙絢からで、自分の部屋にいるあたしは、ついていたテレビを消して電話に出た。




『もしもし?紫音?ちょっとお願いがあるんだけどー』


「なに?」


『今日樹くんの友達とかと遊ぶんだけどね?女友達がいなくてさぁ』




あたしじゃなくて樹の奈緒を誘えばいいのに、きっと沙絢にとって奈緒は邪魔なんだろう。




『紫音来てくれない?』




奈緒じゃなくて、あたしを誘う。




そこで、あたしは良いことを思い付いた。




「いいよ。何時にどこ行けばいいの?」


『6時に繁華街の入り口にいて。あたしもそこ行くから』


「わかった。また後でね」


『あ!あと、奈緒ちゃんは連れて来ないでね。あたし樹くんのこと狙ってるから』




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