カシャカシャとシャッター音が鳴るたびに、モデルの沙絢ちゃんは慣れてる感じで樹にくっついて様々なポーズをとった。
顔が近くなる時もあれば、抱きつく時もあった。
………だから。
気にしないようにしてたけど。
仕事だって知ってるけど。
今日だけだって、今だけだって分かってるけど。
少しだけ出た涙がバレないように、下を向いて涙を拭った。
あたしが今だけ我慢すればいいんだし、こんなことで泣いてるあたしが心が弱いだけなんだ。
そう思ったら、それ以上涙が出てくることはなかった。
それからも何回か撮影は行われたけど、撮影風景を見たくなかったあたしには正直あまり記憶がない。
ただただ早く時間が過ぎてくれないかなって考えてたら、そしたらいつの間にか時間が過ぎていた。
撮影が終わってからも、沙絢ちゃんに樹との写真が載る雑誌の発売日を言われたことくらいしか覚えてない。
………この後、沙絢ちゃんにまたモデルになることを頼まれるなんて知らずに。
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