「初めまして、高城沙絢って言います。Kiss Kissっていう雑誌のモデルやってるんですけど、知ってますか?」
いきなり沙絢ちゃんが樹の目の前に立ち、あたしと話してる時とは違った甘い声で自己紹介を始めた。
「あぁ」
けど樹は普段と変わりなく素っ気ない感じで、そう答えた。
「えっ、ほんとですか?超嬉しい!なんか、男の人って知らない人が多いから、絶対知らないだろうなって思ってたから、知っててくれて嬉しいです」
でも沙絢ちゃんは話を止めようとすることはなく、甘い声で続けた。
「奈緒ちゃんの彼氏なんですよね?奈緒ちゃんとは、つい昨日友達になったんです!奈緒ちゃん超可愛くて!」
「……」
「てか髪の色すごいですね。髪の毛傷んだりしないんですか?」
「あぁ」
「そうなんですかぁ。じゃあ、触ってみてもいいですか?」
えっ?!!!
ちょっと、沙絢ちゃん?!!!
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