何故、私が叔父夫婦と暮らしているのか。


それは、私にも分からない。物心ついた頃から私は叔父夫婦に育てられていた。


というか、物心つく前の記憶がない。


それは、普通だと思うかも知れないが違う。



私の記憶は8歳から始まっている。

両親の顔すら覚えていない。


叔父夫婦もそれについてはあまり語らない。



疑問に思い聞いてもその度にはぐらかされて来たので何時からか聞かなくなった。






多分捨てられたのだと思うが・・


でも私は、叔父夫婦からたくさんの愛情をもらい、とても幸せだ。

だから気にならないと言えば嘘になるが出来るだけ二人を傷つけることは、したくない。




そこで何時ものように魚屋の角を曲がった。


「えっウソ。」



角を曲がると・・・・

職も家も失った生気のない人々がポツポツ路上に座っていた。



「真央ちゃん。また遅刻かい?」


「魚屋のおじさん。」


いつも真央の家が贔屓にしている魚屋のおじさんに声を掛けられた。



「こっちの道は危ないから通らないほうがいい。」


「家を失った人がこの町にもいるの?」


「あぁ町外れにある工場がいよいよ、やばいらしくてな。今月4分の1の従業員をリストラしたんだ。」


「あんなに大きな工場が・・」