階段を下りると香ばしい香りが空腹を刺激する。



叔母さんの小言を右から左手に聞き流し、朝食を掻き込む。


「真央。聞いてるの!」


「聞いてるに決まってるじゃん。」


そんなやり取りを叔父さんが新聞を片手に楽しそうに聞いている。


「貴方も何か言ってやってくださいな。」



私に言っても無駄だと判断した叔母は、叔父に話題を振った。


「まぁ、真央も学校があるんだし、もうお説教は、いいんじゃないか。」


「叔父さん大好き!」


「そうか大好きか。」


叔父さんは、嬉しそうに相貌を崩した。


「もう。真央に甘いんだから!」


「大丈夫。叔母さんも同じくらい大好きだから。」


「当たり前です。」


叔母さんは、頬を少し赤めてツンと言った。


「ごちそうさまでした。」

急いでお皿を流しに持って行って二階に上がり、制服に着替えた。


玄関に行く途中叔父さんに小声で話し掛ける。


「今日、早く帰ってこれるから、アルバイトするね。」


「今度は、何が望みだい?」

叔父さんが悪戯っぽく笑う。


「んーと。叔母さんから庇って!」


「ハハ・・分かったよ。ほら言ってきなさい。気をつけて。」


「やったー。」


私は、叔父さんに抱きついた。


「聞こえてるんですけど!!」


イケない。叔母さんの怒りのボルテージが上がりだした。


このまま、ここに居るとますます遅刻すると思い、真央は玄関にダッシュした。

「いってきまーす。」


すれ違いざまに叔母さんを抱きしめるのを忘れずに。

「真央ー」