切甘短編集!!



走って、走って、階段を駆け上る。

息が切れてきたけど、涙を拭くのに夢中になってたらどうでも良くなった。

震える脚を無理やり動かして、屋上に滑り込む。


「はぁっはぁっ…」


カチャン…

そっと、扉に鍵を掛ける。

これであたし以外、誰も屋上には入って来られない。

ほっと安堵して、あたしは扉に寄りかかって座り込んだ。


あたしは自分で思っていたより、馬鹿だったみたい。

こんなに想いが溢れ出すまで、この気持ちに気づかないなんて。


「…りん、チャンっ!!!」


ドンっ!!!


「っ、新太!!?」

「っ、鍵掛けてんのか…?…りんチャン、開けて?」

「い、嫌……」

「…なんで?」

「顔…ぐちゃぐちゃだから…」

「…りんチャンならどんな姿でも可愛いよ」

「っ!!!///…そ、そんなこと誰にでも言ってんでしょ!!?あ…あのコ、とか…」

「あのコ?…ああ、綺菜子のこと?なんで?」

「呼び捨てだし…それに土曜日、一緒にレポート書いたって…」

「アイツはサッカー部のマネージャー。俺等ン中じゃみんな下の名前で統一してんだ。レポートは、部活終わった後、部のみんなで書いた」

なんだ…。

そうだったんだ…。

「もういいだろ?開けて、りんチャン」

「…それ、やだ」

「?」