「……。って、あ!」
「は?ι」
「マジでお前帰んの!?」
「違ぇーよ、部活だ部活」
「ちぇ…。んじゃあー関!俺等も帰ろーぜ」
「ん。またな、陽己!」
「じゃなー」
「おう」
私はサッと廊下の角に隠れた。
パチッ。
ほどなくして、消された教室の蛍光灯。
私は暫くの間、その場所から動けなかった。
夏音先輩は、陽己先輩と深い関係になることを拒んでいる───。
黒く、どろどろした感情が…ものすごいスピードで、心のいたるところを蝕んでいく。
嗚呼…私、きっともう、戻れないわ。
カタン…。
さっき、陽己先輩が座っていた椅子へと腰を下ろす。
忘れられない。
貴方の優しい微笑みを、胸の奥底に閉じ込めるなんて…。
私には、出来ない。
ダッ。
「やべぇーっ!シューズ忘れたっ」
っ!!!

