彼女が手のひらを暖めているココアの水面が静かににわかに、波打ち立っていた。
「美羽ちゃんじゃない。
彼女は家すら知らないんだから」
「でもっ」
どうしても彼女にしたいのか。
美羽ちゃんが何をしたと言うんだ。
何も俺にはしてくれたことはない。
そう言っても千早は
信じてくれないだろ?
「美羽ちゃんじゃない」
念を押すように、
呆れながら言ったのが
逆効果だったかもしれない。
もしこの瞬間に時間が戻せたら、千早にちゃんと信じてもらえるように言えただろうか?
たぶん…
きっと言葉は見つからない。
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