* * *
「今夜来るか?」
たった一言で、
桜井は受け入れて退けた。
美羽ちゃんは
ちゃんと元気らしい。
話し相手になってやって
欲しいのは俺の方だ、
と、ムカつくほど
爽やかに桜井は笑った。
「男って無力だよなぁ」
「美羽の時も散々思ったよ。
悪阻も苛つきも全部
理由判っていながら、
何もしてやれないんだ」
視界の隅で
美羽ちゃんとちぃが
こそこそ話しているのが
どうしても気にかかる。
美羽ちゃんが何かと
聞き出してるようだけど。
何かあったのか?
「しばらく放っておけ」
「…あ゛?」
「そんな全身全霊で
心配してるオーラ出すなよ。
こっちが肩凝るわ(笑)」
苦笑いを浮かべる桜井に
はいはい、と促されて
入れてくれたコーヒーを
ようやく口にした。
「たまには
お前自身の話もしろよ。
紗雪ちゃんて子とか、
美羽の引き継ぎとか、
あんまり話さないから、
お前がきちんと話しやがれ」
確かに、
美羽ちゃんも自分の話を
桜井に言うタイプじゃなさそうだ。
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