薬の類は飲まないように、
と念を押してきたらしい。
胎児に影響が出たら、
桜井がどんな表情をするか。
「産婦人科って…怖いんです」
もう…放心状態の俺に、
アイスココアにようやく
口をつけた紗雪ちゃんが呟いた。
「出来ることなら、
行きたくないんです。
意味はないけど、
なんか怖いんですよね。
内科とかとはどこか
意味が違う気がして…」
検査薬とかで、
逃げられない現実と
ひとりで向き合うのも
ちょっと怖いらしい。
命の重さと向き合うのが、
一番最初は女性だから。
「産みたくないっていう
訳じゃないんですけど、
受け入れて貰えるかが怖い。
…仕事だって…
まだまだこれからなのに、
辞めなくちゃいけないのは
十分判ってるから…」
そんな時、支えるのは旦那…
つまり、桜井になる。
アイツは知ってるのか?
「今、先輩と薬局に行ってるみたいなんですけど…」
どこか浮かない表情だ。
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