もう届けたから。 そう言った俺を、 不思議そうに何度か見た後。 納得出来る答えが返ってこないと思ったのか、黙ってケーキを口に運んだ。 美羽ちゃんにただ、 真っ直ぐ前を向いて 欲しかっただけだから。 ケーキはそのおまじない。 静かに揺れる湯気が、 林檎の香りが俺の鼻を そっと擽らせながら ふたりの心を解いていた。 ――――― ――― .