闘うまでもない。
戦意喪失させられる。
あたしにどこも似てない。
「自己犠牲しちまうところ」
隣で紘ちゃんが
小声でボソッと呟いた。
「相手のことばっかり考えて、離れようとかするんだけど、結局男は離せなくて振り回しちまうんだよな…」
そこがまた可愛いんだけど。
眼を泳がせながら照れてる姿を見て、なんかあたしまで照れた。
「美羽ちゃんの場合は、
相手が何と言っても桜井だし、
球団に写真を買い取って貰った
負い目も感じてるし…。
でも桜井はそんなことよりも、
美羽ちゃんが寂しがることを恐れてるんだ。
…傍には俺もいるしね…」
いつの間にか紘ちゃんの視線は、桜井さんに向かっていた。
でもそこには敵意より、彼女を温かく見守る眼差しがあった。
「美羽ちゃんが俺を選ぶはずがないのに。俺に出会うよりずっと前から、テレビの向こう側の桜井に恋してたのにさ…」
肩を揺らし、
ゆっくりため息を零す。
そんな紘ちゃんの横顔が
やっぱり切なく見えた。
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