「なんでもないよ…ご飯食べに行こう?」 この時、私に笑うということができたなら もっと陽を安心させられただろう。 でも、その時の私にはまだ笑うということはできなくて いつもの冷めた顔で言うことしかできなかった。 「…あぁ…」 陽もそれ以上は聞こうとしなかったし 私もそれ以上は言いたくなかった。 「じゃ、行くか」 「うん」 そして私たちは部屋から出て 駐車場に向かう。 二人きりのエレベーターはなんだか 気まずくて私はずっと下を向いていた。