「まぁ欲しいものがあったら俺か使用人に言えばいいから」


「はぁ…」


「じゃ、食事まで俺仕事してくるから」




そう言って消えようとする男。




「え?ちょっと…」


「何?」




急いでるんだけどって顔でこちらを見てくる。


すぐ終わるんで落ち着いてくださいね。




「名前…名前くらい教えてくれてもいいんじゃない?」


「あぁ~知りたい?」


「いや…これから一緒に暮らすわけだし」




別に知りたいわけでもない。


でも名前を知らない人と暮らすのってなんかいや…


私はなかなか教えてくれない男を睨んだ。