ブスという理由だけで、近所の子供達からは勝手に『ヤラレ役』にされた。

ブスで幼い尚子には、キャラ設定を自分で決めることさえ許されなかった。

そして、自分の与えられたキャラから逃げることはイジメに繋がる可能性が高いことも知っていた。


尚子はヨゴレ役を完璧に演じきった。

「猪木の真似をしろ」とかの突然の無茶振りにも怯むことなく、必ず笑いを取った。


自ら川に飛び込んでみたりと、サービス精神も旺盛だった。


そしてこの時期に、人の心を掴むコツと、おいしいタイミングというものを知った。

けれど1番の習得は、『度胸』だったのかもしれない。