「俺、好きな人いるんだ。」 「うん。」 暁名さんの瞳に、吸い込まれそう。 「今、俺の目の前にいる人。」 オレンジ色の夕日に照らされて、暁名さんはまっすぐに、そう言った。 「…うん。」 そっか。 やっぱりね。 暁名さんは、由良ちゃんのこと好きだったんだ。 良かった……な。 「…で?」 「……で??」 「返事…は…?」 返事は…。 もちろん…。 「あたし…も。好き。」 そう言うしかない。 これが、由良ちゃんの気持ちなのか、私の気持ちなのか、わからなくなっていた。