私はどれだけ泣いていたのだろう。 気付けばドアをノックする音が聞こえた。 「柚?泣いてんの??」 そう言って私の顔を覗きこむこの人は…… 矢城 優夜君。 カッコよくて、優しい。 彼氏以外で私を“柚” と呼ぶのは矢城君だけ。 「な…泣いてないっ…」 私は強がって“泣いてない” と言うけど、誰にだって分かる嘘。 「泣いてんじゃん…」 いつも優しいけどもっと優しい声でそう言われて、私はもっと涙が溢れた。