正直、頭の中は?マークだらけ。


なんで?

どうして?

罰ゲーム?

聞きたいことがたくさんあるのに、桐山先輩が何も喋らないもんだから私も何も喋れないでいる。


少し大きな道に出ても、車がほとんど通ってなくてとても静かだった。


時々桐山先輩の顔を見上げる。


先輩はただ前を真っ直ぐ見据えていた。


結局、先輩は駅までの道のりを一言も喋らず、ただ私の真横をいつもより少しだけ小股で歩いただけだった。


そして駅に着いた時、

「お疲れ」

と一言だけ言い、たった今来た道を自転車に乗って帰って行った。



「あ、あの…ありがとうございます!」


聞こえたかどうかはわからない。

驚きと緊張でお礼を言うタイミングを逃してしまった。


帰る方向、逆なのにわざわざ送ってくれたのかな…?


真意はわからないけど、駅に着いた時に見た、無表情だけど少し赤くなった桐山先輩の顔が頭から離れなかった。



吐いた息が白く立ち上る。


季節は着実に冬へと向かっていた。




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