全部、君だった。



「そーいう加奈子はいつから宅間先輩のこと好きなの?」


「夏季大会の時!
宅間先輩ケガして途中で出れなくなっちゃったでしょ?
あの時すっごい悔しそうに顔歪めててさぁ…
なんか、手当しながら……キュンッてね。

本当は……部活入った頃からかっこいいって思ってたんだけど、
彼女いるからって気持ち抑えてたんだ。

でも、あんな顔見たら抑えきれなくて……」


「そっかぁ…
そんな頃から悩んでたんだね。

気付いてあげられなくて、ごめんね」


「いいんだよっ!
私が言わなかったのが悪いんだし。

…なんで、バスケしてる人ってあんなかっこいいんだろうねっ!」


加奈子はそう言ってニコニコと笑う。

宅間先輩を思い出しているのだろうか、その表情は"恋する乙女"って感じでとてもかわいかった。



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