全部、君だった。



宅間先輩と、その彼女の有紗先輩は学校ではかなり有名なカップルだ。


人目もはばからずイチャイチャするような、バカップルとして有名なのではない。


幼なじみの二人は互いに信頼し合っていて、互いに干渉しすぎる事もなく、とても良い距離感を保っているように思う。


バスケ部の練習のない日はいつも二人一緒に帰っていて、私もたびたびそれを目にしている。


その光景はまさに絵に描いたようなカップルで、二人が憧れというカップルも少なくはないだろう。


誰がどう見ても相思相愛で他人が入り込む隙間なんてないくらいなのだ。




「でも…宅間先輩は…」


私は言葉に詰まった。


加奈子が知らないはずはないけど…もし万が一知らなかったら…


「知ってる…。彼女いるのも、すごいラブラブなのも。でも好きになっちゃったの…」


加奈子の声は震えていた。



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