全部、君だった。



秋季大会も予選2回戦負けという結果に終わり、私達は次の新人戦に向けて練習を重ねる日々を送っていた。


あの一件以来、私と桐山先輩は特に仲良くなるわけでもなく、今まで通り、部活の先輩後輩という関係のままだ。


会話だって事務的なものだし、それすらも桐山先輩とはほとんど交わされることはない。



ただ、私はなんとなく先輩を意識するようになっていた。







これが恋だと気付くのは、もう少し先の話だけど…


きっと、


私の長い長い片思いはこうして始まった。



でもね…


この時はまさか、あんなにも先輩一色の高校生活を送るなんて夢にも思わなかったんだ。




恋の涙なんて知らなかった。



そんなのあるわけないって思ってた………




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