頭の中がぐちゃぐちゃで何がどうなっているのか、もう分からない。


真斗は迫り来るトラックを視界に入れながら微かに足音が聞こえるのを感じた。

それが段々近付いてきて、次の瞬間。


真斗の身体は空に浮いていて、その浮遊感が無くなったとおもったら背中に強い痛みを感じた。

顔には冷たい雨が降り注ぎ髪の毛が額にくっつく。


そこで自分がコンクリートに叩きつけられたのだと理解した。


一一絢音…?


地面に放り出される前に感じた微弱な体温。

それが何を意味するのか。


何度も「真斗」と呼び続けた声。

それがぴたりと止んだ。

この意味は?


まるで世界の一部が欠けたように辺りは静寂に包まれた。