足元から漏れているもの。
それは白い光。


真斗にはその光が一条の光のように思えて、思わずかがみ込んで色を追う。


だが光が漏れれば漏れるほど、真斗は身体が重くなるのを感じた。

まるで光が真斗の中に吸い込まれているような。


そこではっとする。
これは記憶なのだと。

その証拠に走馬灯のように記憶が駆け巡っているのだから。


真斗が胸の奥に隠していた記憶を思い出せと言わんばかりに、光は全身を粟立たせる。


妙に不快感をもたらすそれが嫌で、真斗は目を閉じる。

その瞬間、暗い視界の隅で世界が逆転するのを感じた。

足元がふらついて定まらない。


不審に思って目を開けると、肌をむんとした湿気がなぞり、地面を強く打ちつける雨の音が耳をつんざいた。


それだけで分かる。


ここが、八年前のあの日なのだと。