「…約束?ってゆうのはなんや」
間の抜けた神嵜の声が聞こえる。本当に疑問に思っている物言いに真斗は微苦笑し、ゆったりと答えた。
「早綺お嬢様が普通の女子高生の遊びを体験したいんですって。それを出会い頭に約束したんです」
させられたと言っても過言ではないと思いますが。
と小さく呟いたのを神嵜は見逃さず、まぁまぁと宥めてくる。
決して嫌なわけではない真斗は神嵜の気遣うような態度に更に顔に苦笑を深く刻む。
「それで、質問なんですが普通の女子高生って何処で遊びますか?
エスコートしろって言われたのですが、よく分からなくて…」
真斗自身よく遊ぶ方ではないため、近頃の若者が、特に女子が行く場所など皆目見当もつかなかった。
「せやなぁ…」
神嵜は考える人のポーズになって必死に頭を働かせている。
しばらくすると、あっと声を上げ、その瞳を真斗にむけた。
「最近新しくできたお化け屋敷なんかどうや?」
「お化け屋敷ですか…」
まぁ悪くはない。
普通に映画に行ったり、遊園地に行くだけなら王道すぎてつまらない気もすることは確かだ。
だが。
「俺こう見えて暗い所嫌いなんですけど…」
「いいえ、真斗!お化け屋敷にしよう」
真斗の決死の告白をよそに、元気いっぱいに飛び込んできたのは、早綺だった。

