今日から執事



それでも、その申し出を嬉しいと感じている自分がいる。

どんな言葉を並べ立てたとしても、それだけは変わらずにそこにある。

それと同時に、変わらずにあって欲しいという希望も存在している。


真斗は突如胸を刺すような痛みに愕然とする。
確かな痛みではない。過去の産物が深く心理を抉る痛みだ。


早綺の気持ちを自覚した直後に、狙ったように忘れてしまいたい過去を思い出す己に苛立ちを隠せなかった。

そして"過去"と謳ってはいるが呪縛と共に存在している自分が許せない。


早綺に歩み寄る度に、歩み寄ろうとする度に呪縛が身体を蝕んで、気持ちを抑制させる。
今のように。