「真斗が私を支えてくれる証を。
私の弱さを認めてくれる証を、頂戴?」


涙の跡をやっと拭いきった手を下ろしながら言う。


「証」


かすかに早綺の言葉を反復し、思案する。

早綺が、真斗にどれほどの信頼や期待を寄せているなど分かるはずもない。


だが、求めてくれるならば全力で応えたい。

目の前にいる、愛しい人を悲しませたくない。


「それなら、これを」


そう言って真斗は自分の首の後ろに手を回し、小さく動かす。

すぐにその手に銀色に光るネックレスを握って早綺の瞳の高さに差し出した。

太陽の光に晒されて、白く煌びやかに輝いているそれは、小さなリングを何個か繋げただけの様なネックレス。

何処にでもある、これと言って変哲のないものであった。


真斗はそれを片手に握りしめると、早綺の身体の位置を変化させ自分の前に早綺の背中がくるようにする。

それからよくドラマで観るような、滑らかな手つきでそれを首につけてあげる。