「いつまでもウジウジしやがって。
悲劇のヒロインです、って顔して自分の殻に篭もってたら解決するものもしなくなる。
そんな事分かりきってるだろ?」


真斗の形の良い眉がつり上がっていて、凄みが増している。

表情はいつになく厳しくて、固い。

早綺は身体の奥からじわじわと湧き上がる反抗心に駆られ、反発した。


「…っそんなこと言ったって本当なんだから!
私は昴兄様に傷つけられたの。ずっと慕ってた人に裏切られることがどれだけ苦しいかなんて真斗には分からないよっ!」

それが引き金だった。

一度話し始めた口は閉じるという選択肢を選ばずに、一気にまくしたてた。
支えを失った"想い"は途切れることなく、真斗へと向かう。