早綺に目線で促されて、近くにある白いソファーに座る。
早綺は真斗の正面には座らずに、ベッドの端に浅く腰掛けた。
真斗は考える。
どうやって話を切り出そうかと。
訊きたいことは山ほどある。
どうして急に部屋に塞ぎ込んだのか、とか何故自分を避けているのか、とか挙げていったらきりがない。
言ってしまえば、パーティーのとき昴と何があったのかも知りたかった。
けれど、早綺が涙を流している現場をこの目で見てしまったから。
そう易々と訊ける話題ではないと、訊いてはいけないと何故だか思う。
口にしたら早綺を傷付けてしまうのではないかと無意識のうちに考えている。
けれど、これ以上早綺との間に溝を作りたくなかった。
覗きこんでも、ただ闇しか映さない溝になる前になんとかしたい。
真斗自身が嫌なのだ。
早綺に避けられることも、自分に理由を言ってくれなかったことも。
それが、悔しい。
専属の執事といえども他の使用人達と何ら変わりがないと、暗に言われているような気がして、無性に腹が立つ。

