「戻ってくるなら連絡を下さればよかったのに」 「悪かったよ。やっと波に乗ってきた仕事だからね。やりたい事は沢山あるんだ」 くずる早稀の頭に手を乗せて言う男の表情は、明らかに愛しい人を見る目で。 その時、真斗は早稀と男が恋人同士であることを悟った。 何故だか、呼吸が乱れてくる。 何も考えられなくなる。 この居心地の悪さはなんだ? この胸につかえているものはなんだ? いくら問うても答えは返ってこない。 真斗はその場に居たくなくて、会場から出た。