「涼弥様、ご結婚なさるのですね」 「書類上はね。でも結婚式を挙げるのはまだみたい」 そうですか、と真斗は相槌を打ってから視線を前に移す。 受付を済ませて会場に入るとそこはまるで別世界のようで。 真斗は一瞬足を止めて見入ってしまった。 こんな場所に自分が居てもいいのかと不安にもなる。 そんな様子を見た早稀はクスクスと笑いながら真斗の腕に自らの腕を絡ませた。 「大丈夫。真斗は自信持って私の横にいれば良いから」 諭すように小声で囁く早稀は、いつもより幾らか大人に見えた。