八丈の本名は、小笠原哲也(34)。屋久に殺された、節子の夫だ。屋久を殺害するために、この刑務所に入ったのだ。復讐だ。それだけが、今の生きがいだ。

ネットの「闇の職安」を通じて、数人の殺し屋を雇ったのだ。皆、ごく普通の民間人だ。資金は、自宅を売却し、退職金を充てた。また、節子の死亡保険金からも捻出したようだ。不足分は、闇金から借り受けた。

小笠原は、ネットカフェ難民の八丈という男性と入れ替わった。身分も素性も、全て変えた。屋久に関しては、自分の手で裁きたかったようだ。

屋久と小笠原は、休憩時間に対峙した。小笠原が殺害の実行に移した。だが、屋久を殴り殺しにする前に、刑務官の種子島によって阻止されてしまった。

これにより、小笠原は、別の刑務所に送還されてしまうのであった。殺人未遂だ。小笠原の計画は、失敗に終わった。

そんなある日、作業場で、屋久は隠岐にカッターナイフで首を切りつけられて殺害されてしまった。動機は、狭い室内、過剰収容によるストレスだ。

隠岐は死刑囚だ、長くない命だ。何をしようが勝手だ。そんな隠岐は、執行が早められて、死刑台に上がってしまった。

隠岐は、小笠原が屋久を直接殺せなかったときに備えて、代わって殺すように依頼されていたのだ。そのために、小笠原は隠岐に接近していたのだ。

実行に承諾をしてくれたら、隠岐の家族のために500万円を口座に振り込むと、小笠原は雇用契約を交わしていた。男の約束でもあった。振り込んだのは、小笠原の母親だった。

面接のない、デジタルな闇の職安。最後はやはり、直接面接ができるアナログ式の職安が、確実なようだ。

まだ、2人が生存している。親族にとって、まだ事件は終わっていない。その後、節子の実の母親が、とある口座に1000万円を振り込んだ。

殺人の依頼だ。佐渡と三宅の家族を殺すように、ヤクザに頼んだようだった。犯罪者は許さない。直接本人ではなく、親族の死をもって、復讐を果たす。

憎しみの連鎖が、始まった。