どうやら扉の先は、靴探偵事務所の裏だったらしい。

入る前の見慣れた街が広がっている。

なんでもなくてよかった。
そう安心していたけど、嶺はまだ不安なようで少し落ち着きがない。

「とりあえず…そろそろ終了時間だし、宿に帰ろう」

確かに、もう辺りは暗くなり始めている。

「はやく帰らないと…」

怒られる、そう言おうと嶺に振り向いた瞬間

腕に衝撃が走った。


「みぃつけた」


嶺がこっちを向いて目を見開いている。

私の腕から流れる赤。

「こんばんは、リンにハル」

そう言って子供っぽい笑みを見せた人は

本宮先生だった。