ヒシヒシと身体を迸っていくのは、貴方と一緒にいられるという実感で。



そんな嬉しさに包まれつつも、どこかで気恥ずかしくも感じてしまうの。




こんな贅沢な感情を…、味わえる日が来るなんて…――




「っ・・・」

今が奇跡なのだと思うと、込み上げてくる感情をグッと堪えた私。




“蘭ちゃんの立場は、私よりも辛いから…”


そう心配下さって、敢えて試練を与えて下さった奥様の為にも。



決して表には出さず、いつも私を心配してくれていた母の為にも。



そして私を必死に守ってくれた、大好きな拓海を支える為にも…。




泣いてばかりじゃダメ…、これからは強くならなきゃいけない――





「クスッ・・・」


「ん、どうした…?」


片頬を包む手の感触は、さらに私の心を温めてくれるように思えた。




「ううん…、拓海が優しいなって――」


幼い頃と何も変わらない、私をジッと捉えるブラウンの瞳。


やっとアノ頃に戻れた気がして、何気なく言ったのだけれど。




「あぁ、そうだな…」


そんな言葉が、鉄壁のポーカーフェイスに辛楚さを滲ませていく。