続きは、社長室で。2



バーを出てランボルギーニに乗り込むと、再び轟音を響かせ始める車。



日付が変わった頃合いだというのに、街並みに静まり返る気配はナイ。



都会の喧騒と夜空とのコントラストに目を向けて、シートへと身を沈めた。




何となく…、拓海と会話が出来ないままに・・・





カジュアルなお食事を楽しんで、2人きりの空間に乗じてキスを交わす…。



苦しみに疼く傷アトが、消え去りそうなほどの空気が此処にはあって。




そんな甘くて、愛おしくて、幸せすぎる瞬間に齎されたの――





「蘭…、明日から出社しないで良いよ。

それよりも、東条家について知って貰いたい…」


「…東条家について?」


仕事の件はもう仕方がナイからと、敢えて触れなかった私。



それでも、突拍子の無さには驚いていたのだけれど…。




「あぁ、お袋が色々伝えたい事があるらしいんだ。

結婚準備とかで、どのみち忙しくなるし…」


「あ…、うん・・・」


拓海がサラリと発したフレーズで、ドクッと脈打つ心音。




結婚までのカウントダウンを、此処で刻み始めたように――